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2018年09月の記事は以下のとおりです。

基本調律について思うこと(440Hzから432Hzへの変換など)

ある日、スマホでとあるWebサイトを見ていた。「In Deep(旧):シュタイナーが警告した「432Hzではない基本音調の世界は悪魔を勝利に導く」 を体感してみました」によると、1953年にISOがA(ラ音)の国際基準値を「440Hz」と定めて以来、今我々が耳にしている音楽を構成する楽器のほとんどは「A=440Hz」で調整されているという。しかしこの基本調律は人間を攻撃的にする(?)ため、代わりに「A=432Hz」とするのが良い、というのがサイトの主張であると捉えた。ここで私は3つの疑問が浮かんだので、それらをひとつずつ調べてみた。ヒマだったのかと言われたらそうかもしれない。人生はどれだけ自分らしくヒマつぶしするかにかかっていると思う今日この頃である。

1、基本調律は、どのような変遷をたどったのだろうか。

2、家にある電子ピアノで「ラ」を出したら、440Hzになるのだろうか。

3、自分の耳で440Hzと432Hzを聴き比べたら、どう感じるのだろうか。

まずはひとつ目の疑問、「基本調律は、どのような変遷をたどったのだろうか」についてであるが、少しググってみたところ、こんな表が出てきた。

基本調律の変遷

年代や国によって、400Hz〜560Hz超までさまざまな基本調律が存在していたようだ。またこれに限らず、例えばオーケストラなどでは曲調に合わせて基本調律を微調整していると思われるため、絶対的なものではなく、感覚的なものと考えるのが自然である。しかしながら楽器などが大量生産されて国際的な流通が広まるにつれて、便宜上の国際基準値が必要とされた結果、ISOによる「A=440Hz」に繋がったのではないかと考えた。言い換えると、国際基準値は便宜上のものであるため、人の感覚や曲調に合う基本調律とは異なるのかもしれない。

次に、「家にある電子ピアノで「ラ」を出したら、440Hzになるのだろうか」について調べてみた。方法は、電子ピアノ上で「ラ」の鍵盤を叩いて、その音をiPhoneで録音して、それをDropboxでPCに取り込み、PC上で周波数領域に変換して周波数特性を見る、というものであった。

「ラ」の音(時間領域)

フリーソフト「Audacity」で取り込んだ直後はこんな感じ。横軸は時間。約10秒の間に鍵盤を2回叩いていることがわかる。これを周波数領域に変換して下記のような結果が得られた。

「ラ」の音(周波数領域)

関数がいろいろ選べる中、「矩形ウィンドウ」とした場合にピークとして440Hzが得られた。結果として、家の電子ピアノはちゃんとISOの国際基準値に従って調整されていることがわかった。当たり前のことかもしれないが、それを確かめてみることもたまには良いかもと思った。

そして最後の疑問、「自分の耳で440Hzと432Hzを聴き比べたら、どう感じるのだろうか」を調べるため、iPhoneアプリ「432 Player」をインストールして、普段聞いている音楽がどのように変化するのかを試してみた。このアプリはピッチを少し下げることで440Hz→432Hz変換を実現しているものと思われる。

432 Player

432 Playerで[Alexandros]のMosquito Biteを聞いてみた。最初は、音が少し低い(1/4フラットぐらい?)という感覚だったが、途中から違和感を覚えてしまった。不協和音のようなものかもしれない。他の曲なら、440Hz→432Hzによってあまり違和感なく、むしろ心地良い感覚があるのかもしれないが、やはり無理やりピッチを下げる以上、どんな曲でもOKというわけにはいかないようだ。

ちなみに、ピッチ変更であれば、拙作のアプリ「Everlisten++」であっても可能だ。「432 Player」と同等のピッチ変更は、主観ではあるがだいたい-30くらいでA(ラ音)を440Hzから432Hzに変更することができる。

Everlisten++

今はいろいろな情報が公開されている時代だからこそ、自分の感覚を研ぎ澄まして、かつ信じることが大事なのではと感じた。

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